瓦づくしの作り方(地瓦)写真入で解説
たたら作りの瓦・
手作りで作っています

@土を練る
ただ練っただけではダメ!均一に、やわらか過ぎず硬過ぎない。


土練機という土を練る機械がなかった頃、大正時代から昭和の初期頃までは、今では、考えられないくらい瓦を作るまでの下ごしらえに時間が掛かっていたと思います。最初足で踏んでその後手で練っていたらしいです。私も土を足で踏んで試してみた経験がありますが毎日続けるとなると、脱帽します。ここをマウスでダブルクリックして、文章を入力してください。
A粘土をブロック状にする
実際の大きさより少し大きめに作る。


差し金をあて針金で切って任意の大きさに切る(実寸法より少し大きめに切る)
Bブロック状の粘土から粘土板を作る
たたら板を左右におき針金や糸でスライスして同じ厚みの粘土板を作る。

同じ厚みの木を左右に積み重ねていく(この木をたたら板)両サイドに渡した針金でスライスしていく、例えば板の厚みが2cmならば2cmの粘土板が用意に出来る。出来た粘土板を取り出し、たたら板も左右1枚づつ外し後は同じことを繰り返す。
C同じ粘土板の出来上がり
たたら板と同じ厚さの粘土板が完成。


土板たたら板と同じ厚みの粘土板が写真のように出来上がりました。切った粘土板がやわらかい状態で重ねてしまうと再び粘土がふっついてしまい取れなくなったしまう。それを防ぐために白地粉(粘土を乾燥させ篩いにかけた粘土の粉)やキラ粉(雲母の粉)を振り掛けておく。
D木型(写真は石膏型)に載せる
木型より粘土板は一回り大きくなければならない。

土木型のあわせ粘土板を曲げていきその後ははみ出したた部分と切るのでそのことを計算の上、粘土板を作っておかなければならない。
E粘土板にタタキをあて木型に馴染ます
木型に沿ってリズムよく少し弱めにタタキをあてる。

タタキという桜の木で作った棒を瓦製作(陶芸でも使うと思います)ではよく使います。1m位もある長いものから30cm位のものまで多々用途により長さが違います。裏表リバーシブルですが片面はフラットに反対面は、なだらかな凸面になっておりで左の写真のように凹になった所をたたくのに使います。『タタキ』何方がだれが考えたのかわかりませんが理にかなっていてすばらしい。
Fカマで余分な土を切り除く
タタキをあて木型に馴染ました後、余分な土を取り除く。

木型に沿ってカマ(粘土を切るためのカマ)ではみ出した土を取り除きます。
G型を起こし一度型から粘土板を外す
この段階で粘土板は瓦の形になりました。

とても軟らかいのでこのまま仕上ることは出来ません。仕上がる途中の粘土板を荒地(アラジ)と呼んでいます。一度型から外し乾燥させ硬くします。あまり硬くしすぎても次からの作業が出来なくなるので頃合を見計らうのですがこれがなかなか難しい。(天候や季節、湿度により乾燥の速度が違うため同じ時間ではというわけにはいかない)
H荒仕上げした粘土板(荒地)を再度木型に置く
少し乾燥し若干小さくなっている。手で触っても変形しない程度。

手で触っても変形しない程度に乾燥させます。あまり軟らかすぎて、硬すぎても仕上磨きが出来にく時間も掛かりいいものが出来ません。仕上磨きまでの乾燥時間は、季節、天候、風や湿度によりまったく違ってきます。湿度の高い梅雨時期などは、なかなか硬くなりません。
I型に置いた荒地にタタキを当てる
タタキを当てながら乾燥中の変形、ねじれを修正する。

乾燥中は変形したりねじれながら収縮していきます。瓦の形が同じであれば、おおむね同じようにねじれたり変形しています。タタキを当てると修正出来ます。
J仕上磨きをする
タタキを当てた後、ヘラを使い仕上磨きをする。

表面にヘラを当て磨きます。滑らかになり光沢が出ます。小石が表面近くに出ているときは、ヘラに接触し感覚でわかりますので取り除きます。(放置しておくと乾燥し石ワレにつながりよくありません)
K裏面も仕上る
タタキを当てた後、ヘラを使い仕上磨きをする。

裏返し裏面も同様にタタキを当てた後ヘラを当て縁はなめし皮で仕上ます。(表面ほど丁寧に仕上る必要なし)
K再度表に向け最終仕上げ
なめし皮で縁を仕上て本来ならばこれで製作は終了

なめし皮で縁を仕上れば後は、乾燥です。乾燥中にかなり変形(ねじれ)します。私の本業として江戸時代の瓦の補足瓦を見本を実測し同じ形状の瓦を数十枚単位で作ることがあります。そのような場合このような作り方で今でも製作しています。
L瓦づくしは、ここから窪みを設ける
苔玉を載せる窪みを任意の場所へ開ける

なめし皮で縁を仕上れば後は、乾燥です。乾燥中にかなり変形(ねじれ)します。
M苔玉を載せてバランスを見る
実際に苔玉を載せてみてバランスを確認する。
位置や窪みの深さ、飾った時のバランスなどを考え最終調整する。
N後は、立てて乾燥させる
立てて乾燥させる。だんだん硬くなると同時に収縮します。

乾燥収縮が落ち着く頃、乾燥台に立てかけ天気の良い日には、外で天日干ししている光景を40年ほど昔よく見かけた記憶があります。現代では、窯の熱を利用して乾燥しているところが殆んどではないでしょうか?
O完全に乾燥したら窯に入れて焼く
今から40年程前までは、土の達磨窯、燃料は薪でした。

私が小学校低学年の頃、母方の祖父が瓦屋の親方をしており達磨窯で瓦を焼いていたことも覚えています。薪で焚いた副産物で炭がとれ売っていたと聞いています。この40年間に窯は、単窯やトンネル釜に変わり燃料は薪から重油・ガスへ。窯焚きも人の手からコンピュータ制御へ変わっています。これも時代の流れで仕方ないことなのでしょう。


こんな昔作りの瓦に小さな自然を感じられる苔玉を飾り身近な所に置いて頂ければと思い心を込めて作っています。
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